どこかで誰かが

さすがに昨日は寒さと乾燥のせいで、のどがちょっとやられた。
夜にはくしゃみと鼻水が出て、今朝起きると、風邪の最後に出
るような洟が出てきた。

長い冬の間に風邪も進化してきたのか、これまで三~四日かけて
出ていた症状が一晩で一気に進行したみたい。風邪も回を重ねる
ごとにスピードアップするのか? それでも、症状がひどくなる
前に、毎回不思議とおさまるのだ。

けど、たまりにたまった肩こりはおさまらない。急ぎの仕事も終
わったので、久しぶりに整体に出かけた。気持ちよくて、途中で
寝てしまった。家に帰ると、こりがほぐれたのか、体がだるくて
心地よい。とてもじゃないけど仕事にならない。

それで岩井志麻子のエッセイ(?)を読んでいたら、また寝てし
まった。有名人って、自分の知らない人たちに自分のことを知
られていて、大変だなあ、気味悪いだろうなあと思いながら。

目が覚めて、ふと思い出した。私の知らない人が私を知っている
変な感覚。そう、有名人でなくても、こういうことはある。いや、私の場合、正確には私が会った人のことを覚えていないというだけなのだが。

*整体院の辺りの景色。

和邇


最初の職場で、外為ディーラーをしていた頃、席には外為ブローカーとの直通回線がつながっていて、スピーカーから声が聞こえるようになっていた。ある日、突然、担当のブローカーさんから「鳩胸さん、大学では写真部にいたんでしょ」と言われ、驚愕した。大学入学後に入部して、高いカメラを買うために夏休みをバイトに費やしたものの、結局、空き巣にカメラを盗まれて、そのまま退部したのだが、実を言えば、部員がくら~い男の人ばかりというのも退部の大きな理由だった。そして、私の過去の記憶から写真部はきれいに抹消されていたのだが…。

私は焦って、スピーカーの音を小さくした。「なんで知ってるんですか?」と焦る私に、「うちの○○が鳩胸さんと写真部で一緒だったというんですよ」と、ブローカーさんは明るく答え、○○さんが電話口に出てきた。「お久しぶりです。○○です。覚えてますか?」
明らかに彼の方が先輩で、名前もなんとなく聞き覚えがある
のだが、どうしても思い出せない。職場で最近、顔を合わせた人のはずなのに。当たり障りのないように、話を合わせてことなきを得た。

東京での最後の職場では、隣の部署の新人社員に、ある日突然、
「ぼくの友達が鳩胸さんのこと、知ってるって言ってました」と言われた。「彼女、鳩胸さんと一緒に映画を見に行ったことがあるって。」

それは非常にマイナーな映画で、マニアックにも私は二度見に行った記憶はあるのだが、その人のことは思い出せない。一緒に
行った友達が連れてきた友達だったのだろうか。

その職場では、バイトをしていた女の子がその後アメリカに渡り、里帰りした際にも、「シカゴ在住の日本人の新進アーティストに会ったら、鳩胸さんのこと、知ってたよ」と言われたことがある。名前を聞いても覚えがなく、そんな人知らない…と思っていたら、どうやら大学時代に友人の友人として、一回だけ会った人だと判明。

一回だけ会った人のことはもちろん、私はその頃の同僚のフルネームも、一目ぼれした人たち(ひとりだけではない!)の名前も思い出せない。いったい、私の記憶力はどこに使われているのか?

それよりもなによりも、私とそんなに仲がよかったわけでもない職場の新人さんや、バイトの女の子が、いったいどういうわけで私の話をしていたのか…そっちの方が、いまだに気になるのだが、その人たちの名前すら、もう思い出せないのです。とほほ。

“どこかで誰かが” への2件の返信

  1. 厚子さん 大分お疲れモードですね。
    大丈夫ですか?
    確定申告も無事終わりましたか?
    我が家も小さな風邪が少しばかり流行ってます。
    病院に行くまでもないのですが・・
    受験当日まで、あと2週間あまり
    冷や冷やしながら生活してます。
    ベストな状態で望んで欲しいからなぁ・・
    結果はどうあれね。

  2. キラキラさん、お気遣いどうもありがとうございますっ!
    仕事がたてこむと、肩こりがひどくなって…。
    確定申告も、あとは発送するだけ。
    息子さんの受験もうまくいくよう陰ながら祈ってます!

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