介護の基本

週末は思いのほか帰りが遅くなり、二日続けて父の施設
に行けなかった。きょうは夫がひとり新幹線で自宅に戻
る。なので午前中に父の顔を見に行ったのだが…。

この施設で私がひそかにNO.1の信頼を置いている介護士
さんに手を引かれ、父が歩いている。介護士さんによる
と便秘が三日目となり、機嫌も悪く、言動が少しおかし
くなっているとのこと。さっき、もう一度、お通じがよ
くなる薬を飲ませてもらったようだ。

つい最近まで快食・快眠・快便生活を続けていた父だけ
に、余計に便秘はつらいのだろう。「わしはひとりぼっ
ちだ」と訴える父を私がなだめる。

今度は新しく入所されたらしいおばあさんが、「ここを
出るときは、どこから出たらええんかね?」と介護士さ
んに出口を訊ねる。すると彼女は逆に「○○さん、ここ
からどこに行くん?」と聞き返す。「△△」と市内の地
名をおばあさんが答えると、「もうすぐお昼ご飯じゃけ
ぇ、ご飯の後でもええ? みんなで一緒に食べようや」
と介護士さん。「ああ、ええよ」と、おばあさんもそれ
で納得したようだ。

おお、まさに三好春樹さんの介護の本に書いてあった基
本事項を目の当たりにした気分。認知症の問題行動は、
心身の不調が原因であることが殆どで、特に便秘が三日
続くと要注意。そりゃ、誰だって便秘が三日続くと調子
悪いよなぁ…。

家に帰りたがっているおばあさんには、「ここから出ち
ゃダメ」と禁止することなく、別の用事に誘って引き込
む。それをさりげなく、やさしくやってしまう介護士さ
んに感動!
なぜか父と相性がいいらしい(?)若い男性介護士も現
われ、父に高校野球を見ようと誘ってくれた。

介護のやり方は頭でわかっていても、実際にすんなりと
実践できないと意味がない。介護士さんたちは現場で日
々、試行錯誤を繰り返しながら、目に見えない「介護技
術」を身につけているんだなぁ。改めて頭が下がる。

17aug09

“介護の基本” への2件の返信

  1. すごく落ち込んで、病院の相談窓口に泣きを入れたことがあります。その時の対応、これに近い雰囲気がありました。(さすがに私の場合は誘導されることはなかったですが)
    正面から受け止めてもらう安心感は絶大です。

  2. ほんと、心理面って大きいですね。安心できれば、食欲もわくし、よく眠れるし。
    きょうは母がすでに退院した病院の会計ミスと、その対応の悪さで、私はちょっと(いや、かなり…)腹を立ててしまいました!! いかんわ~。
    (毎日、思いを送ってますよ!!)

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