リュクサンブール公園追記ー私の妄想

リュクサンブール公園で「走るダニエル・デイ=ルイス」に遭遇したとき、私と一緒にいたのはフランス企業に入社したばかりの若いイギリス人だった。といっても彼は東欧系移民2世で、出身国の言葉も堪能だったようだ。オックスフォード大学出身の長身のエリートで、アルマーニのスーツはこういう人が着てこそ、映えるのだなぁと感心したものだ。でも中味は新卒ほやほやで、まだまだ若いなぁ青いなぁと、すでに20代後半だった私は微笑ましく思っていた。職場のイギリス人チームのほかのメンバーからは「若いくせに生意気だ」と嫌われていたけど、「移民」目線のある彼は、ほかのイギリス人にはないシンパシーを東洋人である私に示してくれていたので、私はけっこう仲良くしていたのだ。親しくなって、いろいろ話をしてみると、理系のインテリのくせに実は予知夢など、けっこうスピリチュアルな体験をいくつもしていたのでビックリ。人って、わからないものだ。

オックスフォードでは、彼が在籍していたカレッジに秋篠宮様が留学されたので、当時はカレッジのパーティなどでご一緒したらしい。「Prince Ayaはとてもいい人だったよ」と話していた。同じくオックスフォード在学中に、MI6にスカウトされたこともあると話していた。東欧の言語ができるエリートだから、目をつけられたのだろう。

そんな彼とは、日本に帰国直後は連絡をとっていたのだが、いつのまにか互いに音信不通になった。彼に限らず、留学時代の多くの知り合いとはしばらくの間、疎遠になっていたのだが、SNSが普及するようになって昔の知り合いとネット上で再会することが多くなった。フランス企業のイギリス人チームのメンバーとも、滅多に連絡を取り合うわけではないが、お互いにどこにいて、何をしているかくらいはわかっているので、何かあれば連絡はとれる状態だ。ところが、この東欧系の彼だけは、ネットで検索しても、一切みつからない。どのSNSでも、みつからない。東欧系の珍しい名前なので、本名を名乗っていればすぐにみつかりそうなのだが、みつからない。

もしかして、名前を変えたのだろうか!? でも、両親の母国を誇りに思っていた彼が、わざわざ本名を変えるだろうか!? もし変えるとすれば、素性を隠して別人にならなくてはいけない、なんらかの任務を負っているのだろうか!? たとえば、MI6の諜報員として…!? 
と、私の妄想は広がるのでした。

でも本当に、どこに消えたんだろう・・・!?

*スパイといえば、ケンブリッジ・ファイヴガイ・バージェスをモデルにした『アナザー・カントリー』を思い出すけど、AXNミステリーで見た『ケンブリッジ・スパイ』も面白かった! マギー・スミスの息子、トビー・スティーブンスキム・フィルビー役だ!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です