運命線-手相観さんの思い出

東京にいた頃は、健康診断のように定期的に(といっても2年に1度くらいか?)手相を観てもらっていた。雑誌の編集をしていた友人が、とても評判がいい手相観さんを紹介してくれたからだ。たまに占いの特集も組む雑誌だったので、彼女の情報は信頼できた。

手相観さんはスリムで小柄で、話し方も静かなのに、言葉はかなり前向きで、人生のちょっとした方向転換をしたいときに、うま~く背中を押してもらった。彼女は、「手相は変わっていくものなので、気をつけて見てみて。自分で手相をいい方に変えたいと、意識してみるのもいいわよ」とも言っていた。

手相ではないけれど、その後、指の内側にほくろができた。ちょうど職場で大きな変化が起きそうなときだったので、手相観さんに会いに行き、その大きな変化を受け入れることにした。

最後に会いに行ったのは、東京脱出を決めて、いよいよ東京を離れる直前。迷いも悩みもなかったけれど、最後にもう一度、お会いしたかったのだ。自分の決断についての最終確認の意味もあったのかも知れない。その日の彼女は、ちょっと疲れた感じに見えた。私の手を見るなり、「いいわねぇ、すごくいいわねぇ、いい感じだわ~」と喜んでくださった。「すべて、いい感じに流れてるわね~」と。私の決断も、「いいんじゃない、すごくいいわ~」と大絶賛。最後はドアの外まで出て、元気でがんばって~と見送って下さった。

ちょっと疲れがたまっていた手相観さんに、感謝の気持ちと、少しばかりのパワーをお返しできたのだろうか。彼女のお陰で、私は清々しい気持ちで旅立つことができた。その後、いろいろあって、結局いまはここでこんな生活をしている。

手相はあれ以来、一度も観てもらったことはないのだが、実は最近、気になることがある。左手の運命線が途中で切り替わり、そこから上の部分だけ、やけにくっきりと、とても目立つのだ。本屋で手相の本を立ち読みしたのだが、結婚を機に運命線が切り替わっているのかも!? これから、ちょっと気にして観察してみようと思う。

実を言うと、手相よりも、指が太くなって指輪が入らなくなったことの方が今の私にとっては大問題なのですが。

*故郷の町
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