去年の秋から入院していた実家の母が、年明けに無事退院しました。その間、93歳の父がひとりになることが心配でしたが、月に何度か帰省したり、毎日電話をして話をする限りでは、なんとかしっかりがんばっているように思えました。耳が遠いので、会話がおぼつかなかったりするのですが、毎日の電話が習慣になると、だんだんとお喋りのスピードも上がり、話題も増えるようになりました。また、父がずっと訴えていた慢性のひざの痛みも、天気のいい日は歩いて母の病院に通ううちに、殆どなくなったというので、日々の訓練、生活習慣が大切なことを教えられました。
やっと母が退院して一安心していたのも束の間、母から父が認知症になったかも知れないという電話をもらいました。母の入院中に強いられていた緊張感が一気に解けたのか、母が帰ってきてからの父の言動がたまにおかしいというのです。
持病のせいで、これまで母は何十回と入院をしてきました。そのたびに、毎日欠かさず病院に通って看病をしてくれた父を思い、母もおかしなことを言う父に対して、やさしく接しなくては…と自分に言い聞かせたようです。
最近になって、母から父のおかしな言動がなくなったと連絡がありました。こちらがやさしく対応すると、あちらもやさしくなるそうです。また父自身も、物忘れがひどくなったという自覚があり、このところ漢字の練習をしたり、メモをとったり、『いくつになっても脳は若返る』を虫眼鏡で読んでみたりと、積極的に脳を働かせているそうです。
たとえば、父はものをどこに片付けたか、忘れてしまうこともよくあるのですが、その「もの」がみつかるまで決してあきらめず、根気よく探すことに、こちらも感心させられました。
父の「あきらめない」姿勢、これは見習いたいと思います。