南北に細長いこの過疎地には、川沿いにいくつもの集落が点々
と並び、それぞれ神社とお寺と自治会館を持っている。
地元の人たちは、集落を「ムラ」と呼び、私の親くらいの世代
まではムラの間で婚姻関係が結ばれることも多かったようで、
あちこちのムラに親族がいる家が大半だ。
さて、きょうはうちの「ムラ」の自治会館で話があると自治会
長さんに呼ばれて行ってみると、呼ばれていたのは私ともう一
軒の移住組のご夫婦のみ。我々はこの過疎地全体の自治会に属
し、自治会費を納めているのだが、それとは別の「ムラ」の町
内会には属さず、お金も納めていない。これは代々の地元の人
たちで構成されており、基本的によそ者は入れないのだ。昔な
がらのお寺やお宮さんの行事がたくさんあり、集会・集金も頻
繁でしきたりやルールも多いというので、入れてもらえないの
はこれ幸いだったのだが、ここまで過疎化・高齢化が進むと
「ムラ」の維持が困難になり、移住組にも「ムラ」の組織に入
って欲しいという打診がきょうのお話だった。
自治会長さん夫婦は、30年ほど前に移住者感覚でこの地にやっ
てきたのだが、ご主人が地元生まれのために移住者扱いはされ
ず、最初から「ムラ」の仕事に関わり、苦労したという。今回
は「ムラ」の意向を私たちに伝える役目ながら、同じ苦労はさ
せたくないと、断れるものは断り、簡素化できるものは簡素化
していこうと話してくださった。
この間まで日本全国で「構造改革」の嵐が吹き荒れていたけれ
ど、田舎にはそんな風さえそよがず、昔ながらの「ムラ社会」
がそのまんま残っているのかも知れない。改革しなきゃ!と気
づいたときには遅すぎた…なんてことにならないよう、若い世
代ががんばらないとなぁ…。
と、いろいろ考えさせられてしまいました。
*朝は霜で真っ白。