私たち夫婦は、結婚の際に指輪の代わりに腕時計を交換した。
といっても、婚姻届けを出しただけで、結婚式や披露宴など
一切していないのだけど。
夫は職業的に指輪をつけるのはふさわしくないだろうという
ことで、お揃いの地味な腕時計を買ったのだ。しかし、夫は
ともかく、ほぼ家で仕事をする私はたまの外出時につけるく
らい。最近ではメタボが進行して、こころなしかきつくなっ
てきた気配。
この間から、その腕時計が見当たらず、外出の際にもあきら
めて時計をつけずに出かけていた。そのうち出てくるだろう
と思っていたが、この連休中にそのことを夫に伝えると、き
ょうになって本格的に時計探索が始まった。そう、掃除も兼
ねて。
たいてい時計をおいていた二箇所のテーブルの上にないとす
れば、どこかに落ちたのか!? ソファの隙間をこじあける
と、これまた行方不明になっていたハサミが出て来た! し
かし、ありとあらゆるところを探しても時計はみつからず、
夫の表情が曇ってきた。
私はといえば、「絶対家のどこかにあるから大丈夫!」と高
をくくっていたのだが、案の定、夕方になって夫が私を手招
きした。なんと、私がふだん仕事をしている土間のパソコン
横に広げて置いてある本の下から時計が出てきたのだ。私が
仕事を先送りしていたことが、みえみえ!ではないか。(そ
れは仕事に必要な本だったのだ!)
夫には呆れられ、息子からは「灯台下暗し」と言われてしま
った。おかげで、掃除ができたけど。