午前中に自宅を出発し、車で広島へ向かった。降り続く
雨が兵庫県でみぞれになり、岡山県で曇り空が少しずつ
明るくなり、広島県に入ると晴れてきた。やはり。瀬戸
内は晴れてるのが当り前のような地域なのだ。
道路もすいてスムーズだったので、実家に帰る前に母の
病院にも父の老人ホームにも立ち寄った。父の老人ホー
ムの駐車場に車を停めたら、一緒に入ってきた車から見
知らぬ男性が下りてきて、夫に話しかけた。私と息子は
先に父の顔を見に行ったのだが、夫はなかなかやって来
ない。とうとう息子に呼びに行かせて事情を聞いてみる
と…。
その男性の長男さんが私たちの暮らす県の大学に合格し
たのだが、その大学のことも地域のこともよく知らない
男性は、やはり息子は広島の大学に行かせるべきではな
いかと、入学金納付期限が翌日に迫る中、悩みに悩んで
いたのだと。そのとき目の前に、その県のナンバーの車
が走っているのを見て、「地元の人の話を聞きたい!」
と思わず後ろをつけてきて、話しかけたのだという。
「仕事の途中なので夜にお電話してもいいですか?」と
男性が夫に渡した名刺を見ると、実家のすぐ近くのとあ
る上場企業の方だった。
実は私の従姉と、それからまた別の従姉の旦那がそこに
勤めているのだ。名刺の男性は、従姉の採用時の面接を
担当された方で、しかも別の従姉の旦那とは自宅が近所
の上に、同じスポーツ活動の仲間であることが後に発覚。
もちろん従姉自身も、よく知っている方だった。
なんとまあ、世間は狭い。従姉に事情を話すと、「●●さ
んに言うてあげんさい、何、悩みよるんね、バカタレ!」
と一喝。よりによって、うちに声をかけるなんて「これ
は幸か不幸か、どっちだったんだろう?」と息子が何度
もつぶやいていた。
結局、夜に改めて夫が電話で話したのだが、●●さんはま
だ迷っていたらしい。
*高速道路から見た瀬戸内工業地帯。