晴れの多い瀬戸内も、残念ながらきょうは曇り。早速、老人ホームに父の顔を見に行くと、きょうも元気だった。前回、11月に帰ったときは、いつもうとうとしていた父。スタッフの方が、「午前中はちゃんと起きとったんですよ~」とおっしゃっても、本当だろうかと思うほど、いつ行ってもうとうと・・・。それが今回は、いつ行っても、しっかり起きている! 自分からトイレに行きたいとはっきり言うし、孫の名前をすぐに忘れることも自覚している。「わしはすぐ忘れるようになっての。もう一回、名前を教えてくれ」 そう言えるだけでも、すごい。やはり父がしっかり起きた状態で対応してくれると、それだけでこちらも嬉しくなる。
実家に帰省した29日の夜、新幹線から乗り換えたローカル線で、通路を隔てた隣の席に、やけにちっちゃいおっちゃんが座っていた。魚でも入ってそうな発泡スチロールの箱を抱え、妙にこちらの様子を伺うので、変なおじさんだな~と思っていたのだが、目的地に近くなった頃にようやく話しかけてきた。夫と息子が暇つぶしに手遊びをしているのを見て、「仲のええ親子じゃのぅ~」と。おっちゃんは今から島に帰るのだと。今では橋がかかったので、島にはバスで帰ればいいのだが、もう時間も遅いので終点の駅前でホテルに泊まるつもりだと言う。「ほんとは、ここに息子がおるんじゃがの、泊まって嫁さんに風邪でもうつしたら、おおごとじゃけ~の。嫁さんは他人じゃけ~。」おっちゃん、単に寂しくて、かまってほしかったのか・・・。息子さんは寿司職人らしい。店の場所まで教えてくれた。「仲のええ親子じゃのぅ~」と、おっちゃんは最後まで繰り返していたけれど、もしかしたら、何十年か前の自分と息子さんの姿をそこに重ねていたのかも知れない。
30日の夕方、私たちが老人ホームから帰ろうとしていたら、エレベーターでちょっと年配の女性と一緒になった。父の年齢を聞いて、「お元気ですね~」とおっしゃる。先ほど、車椅子の高齢の女性が「はよう帰りんさい」とその人に言っていたのを見ていたので、「お母様ですか? しっかりされてますね」と言うと、「そうでもないんですよ」とおっしゃる。一見、しっかりしているけど、本当は認知症のようだ。父と同じフロアに入居している方は、殆どがそうなのだけど。その方は、島根からひとりで車を運転して来られたらしい。「普段は4時間で来るんですけど、きょうは雪のせいで8時間かかってねぇ。今から帰らないと・・・」と玄関を出て行かれた。きっと年末年始で唯一空いていたこの日に、お母さんの顔を見るため日帰りでいらしたのだろう。
みんなそれぞれ家族の事情があり、それでもなんとかその中で、家族の絆を保っているのだなぁ。
ちなみに昨晩、見そびれた映画『山本五十六』をきょう見に行った。昨晩とは別の田舎の映画館に行ったのだが、観客はけっこう多かった。映画としての完成度はともかく、役者さんの演技はよかったし、戦争について、また国やリーダーのあり方について、考えさせられた。さらに、「ここはこの街のあそこに違いない!」とわかる場面もいくつかあった。
私の両親も確かにこの時代を生きていたのだと思うと、なぜか胸が熱くなった。
*お正月なのに、夕飯はフードコート。私と息子はお好み焼きを食べた。