前回、この家に暮らすことになった経緯を長々と書いてしまいましたが、この家について運命的と思えることは他にもあります。
今まで暮らしていた賃貸住宅に比べ、この家はずっと広いので、実家の家具等、使えそうなものはこの家に持ってくることにしました。母がいつも座っていたソファや、父が老人ホームに移った際に購入した椅子を始め、たくさんのものを運びました。中でも実家のダイニングの壁面の下半分を覆っていたキャビネットが、我が家のダイニングにぴったりと収まりました。我が家を訪ねた人たちが、この部屋にもともと取り付けられたものだと思うほど。
それから・・・今までは和室がなかったのですが、この家にはりっぱな和室があるので、実家の仏壇も持ってきました。すると、これまたぴったりと収まるではないですか。私の両親はお寺の熱心な檀徒で、母は元気な頃は朝晩、仏壇の前で読経していました。私も両親が病院や老人ホームに移ったあと、実家に帰るたび、母に代わって仏壇に手を合わせていましたが、今ではこの和室で毎朝、仏壇に手を合わせるようになりました。
すると、なんとも心が落ち着くのです。まるで、実家に帰ったのかと錯覚するほど。そして部屋を見回してよくよく考えてみると、この和室の造りや方角が実家の和室とまったく同じであることに気づきました。どちらも西側に窓があり、北側に床の間と仏壇、そして押入れが並んでいるのです。同じ造りの和室に、仏壇を始め実家にあったものを配置したのですから、実家にいるような気分になるのも当然です。
お陰で私は、故郷から遠く離れたこの家で、まるで両親が暮らしていた実家にいるかのように日々を過ごしています。懐かしくて、なんだか守られているような、本当に幸せな気分です。
この和室、私にとっては懐かしい実家への瞬間移動装置となっています。この家と出会えたのも両親のお陰かしら。感謝感謝。