たかだか週2日か3日のパートだが、あまりに劣悪な職場環境にどっと疲れている。気分転換にちょっと外で働こうという目論見だったが、こんなひどい人たちの中で時間を過ごすことになるなんて・・・。
先日、珍しく現場トップの上司がオフィスにいたのだが、狸の置物のようにただ席に座っているだけで、何もしない。彼の面前で、スタッフが忙しく働いているのだが、全員の手がふさがっていて電話が鳴り続けても、彼は決して電話に出ない。なのに、スタッフの言動、特に電話の応対には聞き耳立てて、隙あらば説教をするらしい(とあとで聞かされた)。で、その日は私がそのターゲットとなったのだ。
電話を取り続けながら、入力作業も続けて、忙しくしている私を、その狸は呼びつけて、「さっきの電話は、どういうことだった?」と言う。「○○からの問い合わせでしたが、忙しい日の○○の注文は無理してとらなくていいと言われていたので、その日はもういっぱいでしたし、断りました。」と答えると、「じゃあ、ほかの業者だったら、どうした?」とくる。もう面倒くさくて、「どうすれば、いいのでしょうか?」と丁寧にお伺いを立てると、ぐだぐだと説教を始めた。しかし、こう言ってはなんだが、狸の話は要領を得ず、何を言いたいのか、よくわからない。なのに時々、こちらに質問をするので、ものすごく迷惑。テキトーに答えると、「違う。わからないのか?」となるし、「わかりません」と答えても、「わからないのか?」となるし、「さあ、どうすればいいのでしょうか?」と答えても、「わからないのか?」となる。で、また説明が始まるのだが、「そんな話、初耳だよ。誰もそんな説明してくれてねーよ」という内容か、あるいは「研修中に聞いた話と違うじゃねーか。いつも指示を出す人は、違うことを言ってるよ」という内容なのだ。もしかして、ただいちゃもんをつけて、えらそーに説教したいだけのおじさんなのか!? 「あ~、疲れるな~」と思いながら、しおらしく話を聞いて、席に戻ったのだが、なんで説教されたのかよくわからない。だって、結局、私の電話の対応は間違ってなかったんだよ。(それは狸も認めていた。あの業者は断っていいと。)なんちゅー理不尽な・・・と思っていたら、例のキョーレツおばちゃんが私に話しかけた。
「きょう、お昼、一緒に行こ!」
ぎょ、ぎょえ~!と思ったが、おばちゃんは弁当持参のはず。
「すみません、私、きょうお昼持ってきてないんです」と答えると、「あっそ、じゃあ、一緒に外に食べに行こ」とにこにこ。普段は交互にお昼休みをとっていたのだが、これはもう断れない。逆に、おばちゃんは私に言いたいことがあるのだろうから、これは情報収集のいいチャンスかもと、一緒に出かけた。
おばちゃんによると、きょうの狸の説教はまだやさしい方だという。そりゃ、そうだ、私の電話対応は間違ってなかったんだもん。これまで新しく入ってきた人は、みな狸の説教という洗礼を受けてきたらしい。狸だけでなく、社長の怒号を浴びる人もいるらしい。彼らの過去のイビリや暴言の数々をおばちゃんは教えてくれた。それを聞いて、ここは長くいる場所じゃない、早く脱出しなきゃと思いながら、「そんな中で耐えて、頑張ってらして、素晴らしいです!」とおばちゃんを褒めちぎる私。
その日の午後は、やけにおばちゃんが私にやさしく、協力的で、びっくりしてしまった。そして狸がいなくなると、場がなごみ、嫌味な社員さんたちも口調がやわらかくなり、軽口も出る。なるほど、朝は狸がいたせいで、みんなピリピリしていたのだ。
しかし、こんなひどい職場は初めてだ。客商売とは思えないし、経営陣も人として終わってる・・・。頼むから、あの怒鳴り声だけはなんとかしてくれと思う。あ~あ、疲れた。