入院初日、無料ベッドの空きがないと言われ、有料の2人部屋に入った。わけもわからず言われるままに。私は廊下側で、窓側のベッドは空いたまま、ひとりで最初の夜を過ごした。翌日、窓側に患者さんが入ったが、無料ベッドが空きましたからと、私は別の2人部屋に移された。今度は窓際で、しかもその部屋を私は何日もひとりだけで使った。窓際で、しかもひとりきりなのだから、こちらの部屋の方がいいに決まっている。しかも差額料金なし! 有料の部屋は、壁紙が新しく、家具(といっても棚だけ)や照明が新しいだけで、広さも同じ。私からすると、有料のありがたみは殆どなし。
2人部屋をひとりで使える日数がわりと長かったのは、ラッキーだったのだろうと思う。入院患者の数にも波があるようで、空き部屋が多いなぁと思っていたら、一気に埋まったりしていたから。
後日、実家のお母さんが入退院を繰り返している東京の友人と話をしたら、私のラッキーな状況は東京ではあり得ないという。無料ベッドの空きなどまずないし、有料ベッドも病院によっては一日、1~2万円だったりするらしい。しかも窓際だと2千円高めとか、だけど外に見えるのはビルだけ…なんて状況らしい。
東京は病院の数も多いけれど、それ以上に患者も多くて、逆に選択肢が多い分、いいところに落ち着くのはなかなか大変そうだ。そう思うと、これくらいの地方都市が何事にもほどよくて、暮らしやすいのだと実感する。
by 鳩胸厚子