車で10分も山を下ると雪のない町に行けるのに、なにをすき好んでこんな雪深いところに住んでいるのかと思うけれど、きょうみたいに空が晴れた朝は、人生を祝福された気分でいっぱいになる。
このつかの間の景色は、ここに住んでいることの格別のご褒美! 山から朝の日差しが入り込んでくると、雪の表面が宝石みたいにキラキラ輝き、木々や家々の屋根から湯気があがり、やがて融けた水がポトポト落ちて、そんな中を鳥がさえずる…凍りついていた葉の一枚一枚、枝の一本一本も、輝きながら、あっという間に融けていく。自然のマジックを目の当たりにして、うっとり。至福のひとときです。
晴れて当たり前、暖かくて当たり前の瀬戸内に育った私は、なかなか空がすっきりと晴れることのない山の天候にまだ慣れませんが、自然の恵みを感じる機会は増えたように思います。当たり前だと気づかなかったことに、感謝できたかも。
周りの自然だけでなく、自分の身体についてもそう。健康なのが当たり前の私には、体が弱い人や病気の人がどんな風に日々を過ごしているのか、本当はわからない。でも、どんな自然も、どんな身体も、すべては魔法のような不思議な力をもった恵みだと思います。要は、その自然や身体とどうつきあうか、こちら側の問題なのでし
ょう。