私は以前からほんのわずかではあるけれど、中国で弾圧されているチベット人とウイグル人の支援している。チベットについてはダライ・ラマ法王の長年の精力的な活動もあり、欧米の有名人の支援もあったりで、わりと知られていたと思う。ウイグル弾圧についてはアメリカ政府が中国批判を始めたことで、ようやく日本の大手メディアでも取り上げられるようになった。しかし、「弾圧」なんて言葉は生ぬるい。実際は「民族浄化」が着々と進んでいる気配だ。
今までも、ナチス、クメールルージュ、ユーゴ紛争、ルワンダ、ダルフールなど、世界各地でジェノサイドは行われてきた。メディアはその非人道的な行いの悲惨さを訴えてきたはずだが、それでジェノサイドが防げたことはあるのだろうか。過去の出来事を振り返るのも、もちろん大事だけれど、現在進行形で行われていることを広く知らしめて、その蛮行を阻止することはできないのだろうか。メディアはなんのために、あるのだろう。
以前、東京に暮らしていた頃、メディア関係の仕事をしている知人宅でテレビを見ていたら、ある企業の不祥事(だったと思う)を報じていた。詳細は覚えていないが、「へぇ、こんなことやってたんだ!」と私は内心、驚いたのだが、知人があっさりと「これ、メディア関係者なら前から知ってることだけどね」とのたまったので、私はさらに驚いた。と同時に、「じゃあ、なんでそれが発覚した時に、さっさと報じなかったの?」という疑問と憤りを感じたことを覚えている。
ウイグルについても、同じことが言えないだろうか。アメリカが大々的に中国批判を始めていなかったら、日本の大手メディアもいまだにこの問題を取り上げていなかったのではないか。
中東の紛争地域に取材に行くジャーナリストが話題になったりするけれど、むしろいま一番危険な場所、取材すべき場所はウイグルではないのか。
とはいえ、主な大手メディアがチベットのダライ・ラマ法王の来日すら報じないのが、日本の現状のようだ。(11月20日に衆議院議員会館にて、「日本チベット国会議員連盟」主催で講演会が行われたのだけど。)