後輩のお母さん

実家に帰ると、母が亡くなったことを最近知った方からのお便りがいくつか届いていた。うちまで訪ねてくださったのに、留守だったのでメモが残してあったり、改めて郵便を送ってくださったり。私はずっと実家を離れていたので、名前は聞いたことがあっても、その方のことや、母との関係など、殆どわからない。とりあえず電話をしたのだが、その中のお一方によると、うちの両親が縁談のお世話をしたらしい。そんなこともあったのか…とビックリ。

きょうはメモを残してくださっていた別の方が、母のお参りに来てくださった。小中高と同じ学校に通った私の一年後輩のお母さんだ。私と彼女は、高校卒業後は東京に出て、似たような生活を送っていたはずだが交流はなく、故郷の町で母親同士がお付き合いをしていたようだ。うちの母が外出できなくなっても、その方が時々遊びに来てくださっていたようだが、その方も高齢のお母さんと同居されているために、足が遠のいていたという。

私がその方と再会するのは、何十年ぶりのことだろうか。後輩は今でも東京の外資系金融機関でバリバリと働いて、高給を稼いでいるそうだ。彼女の大学入試の際には、どうも私が彼女の世話をしたらしい。そういわれてみると、東京の受験校まで同行してあげたような気もするのだが、私の記憶力ってなんていい加減なのだろう!??

このお正月、娘たちは帰省できないのだと、おばさんはちょっと寂しそうに話していた。年をとっても、こういう中途半端な田舎には帰りたくないとも言われているそうだ。

確かに中途半端な田舎だし、空気も臭いし、ガラも悪いけど、自分が育った場所を私は嫌いになることはできない。きっとその後輩も、心から嫌っているわけではないと思う。この町があったからこそ、東京の華やかな生活を目指せたに違いないのだから。

*私が小学生の頃は公害がひどく、この河口でお化けハゼ釣り大会をやっていた。
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