転校後の悩み

午後から来てくださった整体師さんが、開口一番、「ちょっと、あの船長の釈放はなんなんでしょうね!?」と憤って話し始めたので、思わずふたりで盛り上がってしまった。彼女も最近テレビの報道を見ていると、イライラするらしい。新聞も、疑念を持ちながら、醒めた目で読んでいるとか。

そんな話をしていたもので、整体が終わらないうちに息子が帰宅した。「きょうは○○君が遊びに来る予定だったけど、それを聞きつけて、△△君と◇◇君も来ることになった」と嬉しそう。あっという間に3人の男子が到着し、家の中に入って私と整体師さんを見ると、「お母さんがふたりいるの?」 
その後、リビングを子どもたちに占領され、私は二階のパソコン部屋に避難した。

夕方決まった時間になると、みんなきちんと挨拶して、帰って行く。この辺りの子はみんな躾がいいのか、4年生だとこれが当たり前なのか、私は感心して「いいお友達ばかりで、よかったね」と息子に言うと、実は困った子もいるのだと言う。

この前、○○君の家に遊びに行く途中に6年生に出会い、ちょっかいを出されたという話は聞いていたが、その子と出会うたびに、何か言われるのだそうだ。話を聞くと、その発端は朝青龍じゃないけど自業自得。転校直後に玄関で出会ったその6年生があまりに日焼けしていたので、「さすが6年生、よく焼けてるなぁ」と独り言を言ったのを聞き間違えたのか、「お前、どこから転校してきた?」と質問され、山の学校名を答えると、「お前の方が田舎者じゃないか!」と咎められたのだという。それ以来、学校の中でも外でも、息子を見かけると、ちょっかいを出してくるらしい。

「聞き間違えされたなら、誤解をとけば?」と言うと、「そんな、言い返せる相手じゃないんだよ」。「だから、普段から人のこと指差したり、大きな声で話しちゃダメって言ってるでしょ」と言うと、「そんな大きな声じゃなかったのに…」。「ま、でも6年生に名前覚えてもらえて、たいしたもんじゃない?」と言うと、「あと半年すれば卒業するから、それまでの我慢」だと。山の学校では、6年生相手でも、いつも言い返していたくせに、町の学校ではそうはいかないようだ。こうやって、大人になっていくのかな。

整体師さんも帰り際に、息子のことを、「前よりいっそうイキイキと楽しそうで、引っ越してよかったね」と言ってくださった。ここに来て、前よりも大きな世界を知って、成長してくれたら何よりだ。

*あの山の向こう側に住んでいたのにね。
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