山の家はそのままにするとは言え、集落の方々には、夏休み中に挨拶しようと思っていた。近所でよく顔を合わせる人には、実家の事情などを話して説明はしていたけれど、息子の転校が公になるまではあまりおおっぴらにしない方がいいと思って。ところが、結局、夏休みは慌しく過ぎていき、転校手続き後はずっと広島で、そのまま2学期に突入。いまだ、集落の全員の方とお話できていない。
ここにきて、必要な荷物をとりに山の家に帰ることがあるのだが、それも日が暮れてからなので、なかなか人に会えない。この間、戻ったときにはポストにご近所の週末カフェのご主人からの茶封筒が入っていた。中には一冊の本。カフェにある日、突然現れた一匹の犬との短い交流のお話が本となって出版されたとのこと。
夏休みの間に読もうと思って、読めないまま積みあがってしまった本の山を尻目に、まずはこの本を読もうと思う。山の生活では、たくさんのいい出会いに恵まれたが、このカフェのご夫婦もここでの大切な友人であり、理解者なのだ。
きっと、山の生活の一端を垣間見ることができる一冊だと思います。