私が入院するほどのストレスを溜め込んだ期間限定仕事。そのストレスの最大の原因は上司たちだった。ひとりでも尊敬できるというか、まっとうな上司がいてくれたらだいぶ違っていたのだろうけれど。
その中でも、小物感ハンパない上司がいて、どこに行っても誰に聞いても、とことん評判が悪いという徹底ぶり。どうしたら、そんなサイテー男になれるのか!?というくらい。こんなに嫌われているのに、どうしていまだに左遷もされず、失脚もせず、えらそーにしているんだろう!?と最後まで不思議でならなかった。
しかも、どこに行っても誰に聞いても耳に入るのが、悪評だけでなく、不倫の話。それも職場だけでなく、関連会社のスタッフや、近所の奥様方まで知っているという。不倫相手の車に同乗していたとか、あるお店の駐車場で待ち合わせていたとか、ホテルに入って行ったとか、そんな目撃談を私は何人もの人から聞いた。だいぶ昔のことらしいので、今も不倫が続いているとは思わないが、派遣社員の私の耳にも入ってくるほど、あちこちで語り継がれているわけだ。
ご本人はまさかこんなことをみんなが話しているなんて、知らないのだろう。みんながクソミソに悪口言っていることも。自分がどれだけ回りの人たちに嫌な思いをさせているのか、気づいてさえいないのだろうか。本当に、その嫌われっぷりと言ったら…。
職場でその上司が全館放送をした際、たまたま私の目の前にいた方が、その声を聞いた途端に、「あのバ~カがっ!」と吐き捨てるように言ったので驚いたことがある。関連会社の温厚な運転手さんですら、ここに書くのが憚られるほどの信じられないような言葉で罵っていたというから、一体、今までどんな言動を重ねてきたのだろう。
私が不思議なのは、周囲にネガティブな空気を撒き散らして、さんざん恨みを買っているはずなのに、彼は病気にもならず、のうのうとしていること。いや、実際はご本人もかなりのプレッシャーやストレスを感じているのは見てわかるのだが、私やほかの複数のスタッフのように入院するでもなく、元気に暮らしているではないか。そんな強靭な精神の持ち主にも見えないのに。
きっと私たちには見えないところで、相当ネガティブなものを抱え込んでいるのだろうと思う。
彼の魂がいつか救われますように。