前にも書いたけど、私は海外のドラマや映画は基本的に字幕版を見る。ドラマの中でセリフはとっても大事なものだからこそ、その国の景色の中で、その国の人物が演じる物語のセリフは、その国の言語で聞きたい。たとえまったく知らない言語でも。その響きを聞くだけで、その国のイメージが出来上がるし、俳優さんたちの声の使い方も演技の一部だし。
子供の頃は、テレビで吹替えの海外ドラマや映画を当たり前のように見ていて、声優に憧れたこともあった。アラン・ドロンといえば野沢那智(野沢直子が姪だったとは、つい最近まで知らなかった!)で、クリント・イーストウッドといえば山田康雄という時代だったし。
ところが大きくなって、映画館で字幕版の洋画を見るようになると、「え!? この人、本当はこんな声だったの!?」と、声(と言語)の違いで俳優さんのイメージが激変することに驚いた。それに吹替えだと、どうしてもわざとらしい日本語にならざるを得ない部分もあるから、言葉の意味はわからなくてもオリジナルバージョンの方が自然に聞こえる。ただ、日本語字幕を読まないと物語を追えないので、画面に集中できないというデメリットもある。吹替えは吹替えで、確立された文化だと思うので、否定するつもりもない。
そういえば東京で働いていた頃の同僚に、子供の頃、有名な海外ドラマの吹替えをやっていた人がいた。もちろん私も見ていたドラマだったので、最初の頃は彼女の声を聞くと不思議な気分だったが、彼女の方がドラマの女優さんよりずっと美人だったことにも驚いた。
ところで学生時代にヨーロッパ旅行をした際に、スカンジナビアやオランダの人たちは英語がとっても上手なのに、それに比べてドイツの人たちはいまひとつであることに気づいたのだけど、その違いはもしかして字幕かも!?と思ったのだ。スカンジナビアやオランダでは、英米のドラマが字幕で放送されていたのに、ドイツでは吹替えだったのだ。映画館でも吹替えが多かったように思う。
ドラマや映画で外国語が勉強できたら楽しいし、まさに一石二鳥。私もいまだに英米のドラマを見るときは、無意識のうちに英語を聞き取ろうと一生懸命、見入って聞き入ってしまう。
それになんと言っても、俳優さんに惚れ込むときって、見た目もあるけど、それ以上に重要なのは「声」。私の場合は、コリン・ファースに始まり、最近ではベネディクト・カンバーバッチやマシュー・マクファディン。あれ!?全部イギリス人。確かに低くて深みのある声の俳優さんが多いし、イギリス英語の響きを聞いているだけで、なぜかうっとりしてしまう。これは単に、イギリス英語が好きというだけか!? でも私だけじゃない! イギリス英語に憧れるアメリカ人って、かなり多いと思う。英語の本家だものね。