私たちが住んでいた山の中で寺守をしていたおじいさんが、お亡くなりになった。平安時代創建のお寺を、その当時からずっと、このおじいさんの一族が代々守ってきた。お寺は現在、重要文化財で修復工事中。おじいさんのお宅も文化財に指定されている。この集落では、誰もが知っているお家なのだ。
夫はここに越して来る前から、おじいさんにはいろいろお世話になっていた。息子も、地元の保育園の行事やお散歩で何度もこのお寺を訪ねては、お世話になった。私も地元の行事で、おばあさんやお嫁さんのお世話になっている。
夕方、山の集落までお通夜に出かけ、地元の方々と顔を合わせた。昼間は大雨だったというが、お通夜が始まる頃には雨も上がった。このお寺で修行をした僧侶が大勢集まって、最初の法要が営まれた。後で聞くと、何人ものお坊さんが涙を流していたそうだ。それだけみんなお世話になったということなのだろう。
またひとり、山の集落を支える人がいなくなり、厳しい寒さがやってきた。なんとも寂しい。
*息子の通学路から湖を眺める。
*雲をかぶった山の向こう側に集落がある。