スケッチおじさん

きょうも気がつくと、昨日のスケッチおじさんが絵を描いている。
三連休の間、毎日この集落で絵を描いているようだ。どうやらグ
ループで来ているらしく、数時間後にはお仲間が迎えに来た。

スケッチおじさんと言えば、まだ東京で働いていた頃を思い出す。
会社帰りにある地下鉄の駅のホームで友人と待ち合わせていたら、
サラリーマン風のおじさんが私をちらちら見て、メモをとってい
た。不審に思った私は、友人がやって来ると、わざとそのおじさ
んとは違うドアから電車に乗ったのだが、電車が動き出しても遠
くからおじさんの視線を感じていた。

そのうち、友人とのお喋りに興じて、すっかりおじさんのことを
忘れていたら、突然、おじさんが目の前にいて、「はい、これ」
と私に手帳の1ページを渡し、電車を降りて行った。見ると、鉛
筆で私の顔が描かれているではないか。

お世辞にも上手とは言えないスケッチであったが、不審なおじさ
んの行動に納得がいき、安心して笑った記憶がある。都会にいる
と、ときどきこういう変な人に遭遇するものだ。

そんなわけで、ついついスケッチおじさんを見ると、警戒してし
まう私であった。

*おじさんは、こんな景色を絵に描いていたのかな?
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