きょうはちょっとしたシンクロニシティのお話。
高校生の息子が、校内に配布するニュースレターのようなものを編集していて、そこで紹介されている本の著者名が長すぎて、一行におさまりきらず困ったという話をしてくれたらしいのだが、私は(いつものごとく)いい加減に聞き流していて、詳細をまったく覚えていなかった。
ちょうど同じ頃、私がよく見るAXNミステリーチャンネルで『裁判劇テロ』という生放送番組の宣伝をしていた。前半の裁判ドラマを見た視聴者が有罪か無罪かを投票し、その結果によって後半の判決部分のドラマが放送されるという。いつもは録画した番組をあとで見ていたが、これは面白そうだと気になっていた。
さて、このドラマの放映日、息子が持ち帰ったニュースレターにちらっと目を通しながら、私は夕飯を準備して家族にこう言った。
「いつもは録画したドラマを見ているけど、きょうは生放送で見たいドラマがあるの。」
そしてAXNミステリーをつけると、東京のスタジオから『裁判劇テロ』の説明が始まった。すると息子が驚いて言うのだ。
「お母さん、これだよ、これ!」
何がこれかと思ったら、息子が編集していたニュースレターで紹介されていた小説がこれなのだという。
そこで、さっきもらったニュースレターをよく見ると、確かにこのドラマの原作となったドイツの小説が紹介されていた。
『テロ』フェルディナント・フォン・シーラッハ著
こんなマイナーな(失礼!)小説/ドラマが、こんな形でシンクロするなんて。ちょっとした驚きだった。
ついでにドラマの内容を説明しておくと、ドイツ上空でテロリストにハイジャックされた旅客機が、7万人の観衆が集まるサッカースタジアムに突っ込むのを阻止するため、ドイツ空軍のパイロットが旅客機を撃墜。果たしてこのパイロットは有罪なのか、無罪なのか…裁判にかけられる。ドラマでは、視聴者の投票によって裁判結果が決まるのだ。
このドラマは世界各国で放送され、パイロットはどの国でも無罪となったようだが、日本で舞台上演した際には有罪となったらしい。これはかなり特異な例外で、日本独特の価値観なのかと思ったが、AXNミステリーの生放送の結果は他の国々と同じく無罪。スタジオの解説者などは予想外の結果に戸惑ったかも知れないが、私は正直、日本が特異な国でなかったことにほっとした。
これはあくまで私の勝手な推測だけど、日本でこのような舞台を観にいくのは、マスコミ関係者や文化人などを含む団塊世代を中心としたお花畑平和主義者(いわゆる団塊サヨク)が多そうだから、有罪となったのではないだろうか!? 逆にテレビは、ドラマ好きの普通の人たちが見ているはずで、こちらの結果の方が日本の世論に近いのではないかと思う。
とはいえ、有罪、無罪と簡単に決められない難しいテーマで、どちらの結果であってもすっきりしないのだけど。
by 鳩胸厚子