国民目線

原発事故後、中部大学の武田先生のサイトをチェックしていたが、ネットの掲示板を見ると、武田先生に批判的な人が多いことに驚いた(不安を煽っているなどと・・・)。私は放射能のことなどまったくド素人なので、正しい情報を見極める目を持ち合わせているか自信はないが、少なくとも、武田先生は一般国民の立場で考えて、意見を発信しているように思える。疑心暗鬼になって不安に苛まれる家族や友人に話しかけるように、今なにに気をつけるべきか、なにをするべきか、具体的に指南してくれる人は、一般のメディアではなかなか見かけなかった。

私自身は被災地から遠いところにいるというのん気さもあるのだろうが、日本人はこれまで天災はもちろん、空襲や原爆も経験してきたし、戦後世代も公害や近隣諸国の核実験で汚染された大気を吸って生きてきたから、今回もそんなに恐れることはないと思っている。だけど不安になるのは、都合の悪い情報を政府は隠しているんだろうな・・・と思えること。想定しうる最悪の状況が把握できれば、そのあとどうするかは自分で判断するけど、そのデータがなかったら、判断のしようがない。つい昨日も友人から、「文科省が発表する放射線量は、地上16メートルで測定されてるんだって」と聞かされ、国民目線で動いてくれる官僚や政治家はいないのだろうか・・・と不安になった。放射線に限らず、すべてに関して、お上はこういう体勢なんだろうな。

武田先生が、原子力安全委員会の指針は原子炉を守るためのもので、付近住民を守るためのものではなかったと発言されていたが、山の集落でも似たような経験をしたことがある。

ある日、突然、水源豊富な山の簡易水道を廃止して、街中の浄水場から峠を越えて上水道を引いてくるという計画が示され、住民たちが反対したときのこと。説明会で役所の方は、大雨被害を受けた簡易水道施設のある場所が新たに土砂災害警戒地域に指定されたので、このような危険地域に施設を置いておくことはできないと理由を挙げられた。では、川下から川上まで上水道を引くよりも、山に水源はいくらでもあるので、別の場所に水道施設を作った方が安上がりではないかと質問したが、この山間部は危険地域が多く、そのような場所には施設を作れないという。しかし、役所が指定した危険地域の地図を見せてもらうと、多くの民家もそのエリアに入っている。それを見て、「危険地域に水道施設があってはいけないけど、住民の家はあってもいいということですか? 水道施設は守るけど、住民の家はどうなってもいいといううことですか? 本当にそんなに危険なら、防災工事をするべきじゃないんですか?」と質問すると、防災工事は水道局の仕事ではないから・・・と回答された。もし大雨で土砂災害が起こったら、住民の家は流されて、水道施設だけ残ることになりかねない・・・ということか!?

住民目線ではなく、いろんな法律や規則、あるいは自分たちの役所の利益を優先すると、こういうことになるのだろう。気仙沼出身の小野寺五典衆議院議員の日本記者クラブでの記者会見でも、こういう話がいっぱいあった。(小野寺議員の公式サイトで動画が見られます。)なんだかなぁ・・・。

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