鈴木るみこちゃんの思い出

るみこちゃんとは同じ大学の一年違いで、出会ったのはバイト先だった。同じシフトの時には、恋愛話など、たわいないことを語り合った。そこにはいつからかノートが置いてあって、日誌のようにみんな何かしら書いていくのだが、るみこちゃんの文章はいつも際立っていた。

大学卒業後、るみこちゃんは大手出版社の編集者となり、その会社の学生向けの新聞広告の一面にデカデカと写真が載っているのを見て、やっぱりここでも花形なんだなぁと誇らしく思った。時代はまさにバブル期。出版界は特に華やかだった。 

私の留学前後は東京のアパートを引き払っていたので、るみこちゃん家に泊めてもらったことが何度もある。その後、私が関西に越してからは、るみこちゃんが我が家に何度も来てくれた。生後3ヶ月の息子を抱いた、るみこちゃんの写真がアルバムに残っている。

東京を離れたあとも、こんな風に付き合いが続いていたのに、ある時、ちょっと気まずいことになり、実はそれ以降は会わないままだった。といっても、表面上は今まで通り。たまにメール等で連絡はしていたし、本屋でるみこちゃんの文章をみつけては喜んでいたんだけど。

それがおととし、突然ハガキが届き、それまでと違う筆跡と文章に驚いた。すぐにでも会いに行きたかったのに、私自身も仕事に追われて体調を崩した。ようやく落ち着いた頃、るみこちゃんからのメールに関西に遊びに行きたいと書いてあったので、きっと近いうちに会えると思っていた。メールには、仕事のことなど、ほかにもいろんなことが書いてあったので、るみこちゃんも元気になったと思っていたのだ。

どうして私はその後、連絡していなかったのか、自分でも不思議でならない。いや、連絡したつもりだったのだ。「いつでも来てくれて大丈夫よ。私もいつでも遊びに行けるよ」と伝えたつもりだった。それで、ずっと待っていたのだ、るみこちゃんからの連絡を。

るみこちゃんからの最後のメールを読み返したら、関西に遊びに行けたらいいなという書き方をしていた。つまり、自信を持って遊びに行ける状態ではなかったのだろう。そして、私に対して、遊びに来てねと書いてくれていた。それなら、私が会いに行けばよかったのだ。

いつでも、すぐにでも、会いに行くつもりだったのに、私の心のどこかに遠慮があったのだと思う。あの気まずい一件のせいで。もうわだかまりはなかったはずなのに。るみこちゃんの心の中にも遠慮があったから、あんな書き方をしたのだろうか。というより、それを読み取れなかったあの時の自分が情けない。そして、それを今になって気づいている自分も情けない。

もうずっと前、るみこちゃんが山奥の我が家(当時)に遊びに来てくれた時、幼かった息子にはまだ生まれる前の記憶が残っているかも知れないからと、るみこちゃんが「生まれる前はどこにいたの?」と尋ねたことがある。息子は、その時、肌身離さず持っていた大好きなアニメのゲーム攻略本をぱらぱらめくり、目に入った単語を組み合わせて、「永遠の」+「光の塔」と答えた。それを聞いて、「本当にそうかも!」、「すてきな言葉だね~」と盛り上がったのだが、るみこちゃん、今ごろはその「永遠の光の塔」に帰っているのだろうか…。

るみこちゃんが残した宝石のような言葉の数々・・・たくさんの人の心の中で今もきらめいていると思う。
すてきな思い出をたくさん、ありがとう。

——-追記——

Olive』、『anan』、『クウネル』、『つるとはな』等の雑誌を中心に活躍された鈴木るみこさんを追悼する会を、遅ればせながら開きたいと思います。彼女の文章が好きだった読者の方、あるいは彼女と仕事やプライベートで交流のあった方、どなたでもご参加ください。比叡山の麓で、鈴木るみこさんの文章や彼女にまつわる思い出など、語り合いましょう。

日時:2019年11月4日(月・祝) I部:午後1時~2時30分

                  II部:午後3時~4時30分

* 事前申込制、定員各20名。(空きがあれば両方参加も可)

場所:むあ文庫 muabunko.com 

  最寄駅:(京阪石山坂本線)坂本比叡山口駅/(JR湖西線)比叡山坂本駅

参加費:1,500円(飲み物・お菓子付)

お申込、お問合せは、hatomuneatsuko.comのお問合せページにお願いします。

*劇団を観に行ったときに流れていて、るみこちゃんに教えてもらった曲。マイク・オールドフィールドの「To France

“鈴木るみこちゃんの思い出” への4件の返信

  1. 初めまして、平野麻里奈と申します。
    今月の帰省に合わせて、まとめて本を注文しようと思い、本を探している中で、その文章が、大好きな鈴木るみこさんの著作も探そうと思い、検索をしていました。そして、ご逝去された事を知りました。
    クウネルを愛読していたのですが、目頭が熱くなる記事、必ず鈴木さんの手によるものでした。

    偲ぶ会に、是非、参加させていただきたかったです。
    大切なご友人を亡くされたこと、心から残念に思います。
    るみこさんが、光の塔で、大好きなものと人たちに囲まれておられることを祈って。

    1. コメント、ありがとうございます。
      先日も、るみこちゃんのトーベ・ヤンソンの文章が載ったクウネルを大切にとっているという方に出会い、たくさんの人の心の中にるみこちゃんの言葉が残っているんだなぁと感じたところです。

      実は偲ぶ会はまだ企画段階です。近隣に知り合いが少ないこともあり、クウネルが好きな方々をいま探している状態です。詳細決まりましたら、お知らせします。

  2. はじめまして。るみこさんとは大学の同じクラスでフランス語を勉強しました。華やかな雰囲気の方で、一二度ことばをかわしただけでしたが、遠くからあこがれる存在でした。卒業後はそれきりになりましたが、編集者としてご活躍だったとのこと、るみこさんらしいなと思います。
    当方枚方在住ですので、日程さえあえば偲ぶ会にうかがいたく、詳細決まりましたらお知らせいただければ幸いです。

    1. コメントありがとうございます。
      ちょうど大学の同窓関係の方にいろいろコンタクトしていたところだったので、ご連絡いただき、とても嬉しいです!
      今月中に偲ぶ会の詳細が決まるかと思いますので、もうしばらくお待ちください!

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