雪の日がますます寒くなる~『トラップ 凍える死体』

かなり寒い日が続きますが、厳寒の季節にふと思い出すドラマがあります。

AXNミステリーで見た『トラップ 凍える死体

これ、アイスランドのドラマです。アイスランドのドラマなんて見たことないから、「どんなんかな~!?」という好奇心で見たのです。

アイスランドといえばビョークというエキセントリックなシンガーを思い出しますが、それ以外にも私は山奥の過疎地に住んでいた頃、まるで魔法使いのようなミステリアスなアイスランド人ご夫婦に遭遇したことがあり、私の中では勝手に「おとぎの国」のようなイメージが出来上がっていたのです。

ところが、このドラマ。ただ延々と暗くて寒いんですよ。首都レイキャビクから遠く離れた田舎の小さな港町にデンマークからのフェリーが到着すると同時に海に浮かぶ死体が発見されるのですが、吹雪のため交通が遮断されて、首都警察からの応援も来ず、誰もその町から出られない状態で、事件の捜査が始まるのです。しかし田舎の警察の人員はわずかに3名。物語は、警察署長のアンドリという熊みたいなおっさんを中心に展開していくのですが、こんな田舎町なのに、デンマーク人やらリトアニア人やらアフリカから人身売買で連れてこられた女性やら、意外と国際的なのです。ま、私も山奥の過疎地でアイスランド人に遭遇したくらいですし。(これについては、2009年4月13日の日記を参照)

悪天候で孤立状態の町の中で、なぜか次々に事件が起きるので、アンドリは大忙しなのですが、外があまりに寒そうで、移動するだけでも大変そう。陽も射さないので、雪と氷の世界なのになんとなく薄暗く、みんなの服装も地味(制服や防寒着だから仕方ない)。致命的なのは、北欧というと長身で紅毛碧眼の美男美女を想像するのに、出演者に美形がひとりもいないこと。「これはドキュメンタリーか!?」と思うような顔ぶれです。(敢えて、そういうキャスティングをしているのでしょうか!?)主人公のアンドリは、前述したように熊のようなおじさん。ただし、真面目で誠実なキャラクターですが。

なので、これ、華やかさが1ミリもないドラマなんです。ジョークもないし、笑顔になれる場面もない。ネタばれになることは書きませんが、真面目で誠実なアンドリは最後まで報われません(これもネタばれ?)。なんなのだ、このドラマは!

ま、このドラマの効用があるとしたら、とにかく寒いってことでしょうか。実は私と夫は、このドラマ、夏に観たのです。暑い夏の日の夜に、暗くて寒いアイスランドのドラマを見るのは乙なものでした。ただただ暗くて寒くて地味なドラマの展開に、とうとう私たちは笑うしかなく、「アンドリ?」と嫌がらせのように互いに呼びかけておりました。

今でも夫が突然、「アンドリ?」と言うと、思わず笑ってしまいます。えらく長いこと効果が続くドラマですね。コメディじゃないのに、我が家の定番ジョークとなってしまった「アンドリ」。やはりアイスランドは不思議な国です。

by 鳩胸厚子

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