一ヶ月ぶりに訪れた友人宅の周りの棚田で、近所の女の子が
おたまじゃくしをすくっていた。そのあと、近所のおばあち
ゃんに許可をもらって、今度は白くてふわふわのモリアオガ
エルの卵もとってきて見せてくれた。
そして、友人宅の庭では数々の花が咲き、虫が飛び、空は青
く、遠くの砂山では子供たちがきゃっきゃっと走り回ってい
る。気持ちのよい風が吹く玄関前のテラスに腰を下ろし、こ
れ以上、なにを望むものがあるだろう…と思っていたら、淹
れたての紅茶のカップを渡された。
ああ、極楽、極楽。
びわ湖畔に暮らす翻訳家の物語