NHKアジアン食堂 テンペと夫婦愛

山の集落の友人夫婦が出演した番組を見た。インドネシアのテンペ作りに取り組み始めた頃、どうしてもうまくいかず、けれど何がいけないのかわからず試行錯誤していたところ、「これは水に違いない!」と、清流のある山の集落に家族で移り住んだ。ここに自ら製造工場を作り、今では故郷のスルタンにも認められたテンペを作っているのだ!

インドネシアではご主人の家族を取材し、山の集落ではご主人が作った郷土料理を奥さんのご両親にもふるまい、両家の家族も紹介された。ふたりで夢を追ってゼロから始めたテンペ作りが花咲くまでの物語りを、私もこの番組で初めて知った。

思わず目がうるうる・・・。感動して涙が出たのを、息子に見られてしまったよ。
夫婦愛、親子愛、家族愛、郷土愛・・・「人生、愛よ、愛なのよ!」って、昔、美輪明宏のリサイタルで聞いた言葉を思い出した。

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限界集落、行く人、来る人

きょうは月に一度の美容室の日。気持ちのよい晴天の下、峠道をドライブして、山の集落に出かけた。少し早めに着いたのだが、あともう少しで美容室というところで、うちのご近所さんを発見。イタドリを採集していらしたようだ。久しぶりだったので、思わず車から降りて、お喋りしていたら、また別のご近所さんが通りかかり、3人でお喋り。結局、美容室の約束の時刻に遅れてしまった。

けれど、お二方とも高齢ながらお元気そうで、本当に何より。ただし、何年も前に街の息子さんの家に引き取られた近所のおばさんが、つい先日、亡くなられたという。うちの母と同い年の、やさしいおばさんだった。最後に会ったのは、いつだったか。たまに集落に戻ってくるたびに、どんどん弱っていく姿を見て、切なかったものだ。

一方で、集落内に土地を買って、家を新築し、引っ越してくる人もいる。複数の集落の人たちが、その人たちに会っているのだが、「若い夫婦だ」という人もいれば、「小さい子供がいるような若い夫婦ではない」という人もいて、今のところ年齢不詳の謎の夫婦・・・ということになっている。(学校に通う年齢の子供がいないか、みんな気にしているのだが・・・)

けれど、美容室近くの家が売りに出ているという話もあるし、また、別の一家がすでに街に家を借りたという話もあり、結果的には「行く人」ばかりが増えそうな気配。別荘地としては最高だけど、定住地としては不便きわまりないからなぁ。

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限界集落の現実

実は昨日の午後、突然、山の集落の友達が遊びに来た。毎日、街まで通勤して忙しい彼女にとっては、わずかな時間だけど、息抜きのお喋り。もちろん、私にとっても久々の楽しい時間だった。

けれど、彼女から聞かされた集落の最新情報は、悲観的なものばかり。日に2本の京都行きのバスは運行休止になったし、各集落を回る移動商店は閉店、唯一のガソリンスタンドも廃業が決まったらしい。若い人は車で街のガソリンスタンドに行けばいいが、車を運転しないお年寄りにとって、この唯一のガソリンスタンドは大切な燃料源。冬の間、雪深い山の中で、家まで灯油を運んでくれる、ありがたい存在なのに。

山の集落の行く末に、光は見えない。

それから昨日の続き。編集者の人と話をして、原文を最大限に尊重してもらうようお願いした。勝手に加えた作文だけど、どうやらその人は抽象的思考が苦手なようで、具体的な説明がないと読者が理解できないと思っていたようだ。私はむしろ、抽象的な表現の方が広がりがあって、読者がそれぞれ自分のことに置き換えて共感しやすいと思っていたのだけど。単に読解力が足りない人なのか!? でも、そんな人が編集者になるものだろうか!?

*広島のSAで買ったピリ辛れんこん。辛すぎて、家族は食べてくれません。
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山の過疎地の井戸端会議

DSC02474 今朝起きると、雪が積もっていた。被災地の方々は、大丈夫だろうか?

きょうは山の美容室に自力で行くつもりだったのだが、昨晩は山の雪がすごかったからと、またも美容師のお友達が迎えに来てくださった。(我が家の車は既にノーマルタイヤに替えていたので。)

ときどき英語のことでお世話になる山の集落のアメリカ人の友人に、山の美容室に行くことを伝えていたので、きょうは久々に女3人でしばし井戸端会議を楽しんだ。彼女の娘さんも、東京からこちらに戻ってきているらしい。

被災者の方々も、この山の空家に避難して来ないかしら。東北の方なら、これくらいの雪も平気だろうし。仕事がネックだけど、山仕事ならいくらでもあるはず。これから木材の需要も出てくるんじゃない? 杉を伐採して、広葉樹など他の木を植えようよ…などと、お喋りは盛り上がった。

本当に、移り住んで来る人がいたら、大歓迎!!!なんだけどな~。

*山に入ると、こんな感じ。
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*屋根にはけっこう積もってた。
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雪国へ

DSC02286 きょうは山の集落の美容室に行ってきた。それも送迎つきで。実は広島から乗って帰った軽自動車はノーマルタイヤのままなので(しかも冬タイヤは山の家の倉庫の中!)、美容師さんが送迎してくださったのだ。彼女も普段は街の実家で暮らしていて、きょうは仕事が休みのため、街の家から車に私を乗せて、山の美容室まで往復してくださるというのだ。

私が山の集落に行くのは3週間ぶり。雪が積もってからは初めてだ。美容師さんがわざわざうちの集落の旧道を通ってくださったのだが、我が家は雪に埋もれていた。きょうは天気がよくて、道路もノーマルタイヤで走れる状態だったが、山の天気はいつ変わるかわからない。帰る頃には空が暗くなり、雪がちらついていた。なのに峠をおりると青空が広がり、街の家に帰るとすっかり晴れ。ベランダの洗濯物も乾いていた。

街に暮らして、つくづく思う。山の集落は別世界だと。峠を越え、トンネルを抜けると、本当に雪国になるのだ。

明日は中学入試とセンター試験。悪天候が予想されているけれど、荒れ模様となりませんように。受験生の皆さん、がんばって!!

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地域力

昨日、茅葺の家のおじいさんの話を聞いて、近県在住の娘さんに電話をした。事故の詳しい状況や、おじいさんの様子を教えてもらい、最後におじいさん本人とお話をして元気な声を聞き、安心した。あとで調べたら、軽い脳梗塞で一瞬、意識が飛んだのではないか…という話だった。春までは娘さん宅でゆっくり療養するとのことだが、車のない90歳の山でのひとり暮らしはなかなか難しいだろう。

さて町の集落でも、このところ動きがある。ある施設の建設計画がもちあがり、住民有志が反対運動を起こしているのだ。昨晩、署名運動の説明を聞いたので、私も今朝はスクールガードとして通学路に立ってくださっている近所の方々に声をかけ、署名をお願いした。

お昼は、まもなく山の集落からこの近所に引っ越す友人の荷物運びを手伝って、ついでに署名協力もお願いして、ランチを食べながらお喋りもした。ちょうど出会った近所の奥さんにも署名をお願いしたし、あとは夫の職場関係だ。

田舎だろうが都会だろうが、住民の協力体制がないと、安心できる暮らしは実現できないのだなぁと思う。今回のことがきっかけで、新興住宅地の横の連携が強まるのはいいことかも!

*今年も倉橋島のみかんが届いた。甘い!
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高齢者の交通事故(日ごろの行いが幸運を呼ぶ)

月に一度、山の集落の美容室に通っている。昼間は外でお仕事をしている方なので、夜にお邪魔することが多いのだが、きょうは珍しく日中となった。彼女も今では町の実家に暮らし、休日に山の家に戻ってくるという生活だ。子供さんたちが高校に通学するため、ご主人ひとり山の家に残して、母子で町の実家に引っ越されたのだ。

毎月たくさんお喋りをするのだが、私より集落に戻る頻度が高い彼女から、山の集落の情報もいろいろ教えてもらっている。この一ヶ月の間にお年寄りがふたり亡くなられたそうだ。仕方のないこととは言え、人口が減る一方だ。

美容室の帰り、山の集落を出る前に、気になっていたことを近所のおじさんに聞いてみた。我が家のすぐ近くの茅葺の家にひとりで暮らすおじいさんが、先日、交通事故をしたらしいと耳にしていたのだ。おじいさんに怪我はなかったらしいと聞いたものの、事故現場を目撃した友人は「車が大破していた」と言っていたからだ。

おじさんによれば、おじいさんはブレーキもかけないまま、ガードレールに突っ込み、車は大破したものの足首の骨折だけですんだという。先月、90歳になり、子供や孫が集まってお祝いをしたばかり。車がなければ生活できない山の中だけに、みんな心配しながらも、車の運転を止められなかったのだ。

それにしても、なんという不幸中の幸い。おじいさんの日ごろの行いがものをいったのだろうか。思えば私の父も、同じような事故にあい、ようやく運転をやめてくれたのだった。生き運がある人は、こんな風に何かの力で何度も助けられているんだなと思う。

ああ、よかった。

*久しぶりの我が家。今度くるときは冬タイヤ必須だわ。
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人材確保

DSC02058 フリーになってから長いことお付き合いしている会社がある。たまにちょこっと仕事をいただく程度だが、毎月なんらかのやりとりがある。担当の方がたいそう丁寧で感じよく、ケチケチしてなくて、良いイメージだったのだけど、それが年を経るごとに変化してきた。担当の方が次々と退社して代わっていくたびに、イメージが少しずつ落ちていったのだ。もちろん、社内の事情だけでなく、世の中の経済状況など、さまざまな要因が絡んでいるのだと思うけど、だんだんと世知辛くなってきて、ちょっと寂しい。と思っていたら、とうとう今の担当者も退社すると通知がきた。

夕方、回ってきた回覧板を見ていたら、隣の学区の広報誌が入っていた。今までにはなかったことだ。公立小中の選択制が始まったことで、この学区の中学は生徒数が激減して、私たちがいた山の中学と変わらない規模になっていたのだが、地域をあげて生徒誘致の活動に取り組み、それが成果をあげつつあるようだ。こうやって近隣学区の回覧板に広報誌を入れて、アピールまでしているのだ。

山の学校では残念ながら地域をあげての取り組みは一切なかった。現場に近い人たちは、それなりに考えるところはあったけど、地域のバックアップがなかったから。下手すると、バックアップどころか、勝手な活動は潰されかねない状況だったから。

だからといって、隣の学区の活動を私は羨ましいと思っていない。確かに地域の団結力はすばらしいと思うけど、広報誌を読む限り、「自分のとこさえ、よくなればいい」という思いが透けて見えるのだ。ひとつ間違うと、この地域を盛り上げない者は認めないという排他的な姿勢になりかねない。

じゃあ、どういうのが理想的かといわれると、それもわからず、私の胸の中はもやもやしたまま。

息子がきょう英語のレッスンで習った文章を披露してくれた。
“She has a headache.” まさにその通りだわ。

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運動会(その1)

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きょうは山の過疎地の保・小・中&地域の合同運動会。夫は体協の役についているため、朝6時半から学校で準備。そのため久々に昨晩は山の家に泊まったのだが、空気もひんやり、木の香りがして、家の中も広くて、ここはここで心地よい!

息子は開会式に合わせて水筒を持って、嬉しそうに学校に歩いて行った。久々に友達に会えるのでコーフン気味だ。

私は家の掃除と、あとはちゃんと挨拶できてなかったご近所巡り。スクールガードでお世話になった老人会の方々に、やっとゆっくりとお話ができた。皆さん、大体の事情はわかってくださっていたのだが、直接話せてほっ! 息子についても、「集落にほかに子どもがいなくて可愛そうだったから、よかった、よかった」と、街の小学校に転校したことを喜んでくださった。

一軒、一軒での立ち話がえらく長くなってしまって、家に戻って焦ってご飯を炊き、簡単なお弁当を作った。それを持って学校に行き、今度はママ友やほかの集落のお知り合いの方々にご挨拶。それから先生方にも。

街の家のわりと近くのマンションにお住まいの先生と、近所のスーパーの話で盛り上がり、さらに、別の先生が街の家のすぐご近所さんだと判明。中学生の保護者の方は、さっきの先生と同じマンションに別宅があり、来年の高校進学後はそちらを拠点にされるとのこと。それから息子の同級生一家も、来年度から我が家のご近所に引っ越すことが決定。

結局、街に行っても、なじみのメンバーでお付き合いが続きそう。その一方で、この過疎地はどうなるんだろう…!?

*閉会式のあと、子どもたちはいつものように遊び回る!
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ポロ 人生の贈り物

山の家はそのままにするとは言え、集落の方々には、夏休み中に挨拶しようと思っていた。近所でよく顔を合わせる人には、実家の事情などを話して説明はしていたけれど、息子の転校が公になるまではあまりおおっぴらにしない方がいいと思って。ところが、結局、夏休みは慌しく過ぎていき、転校手続き後はずっと広島で、そのまま2学期に突入。いまだ、集落の全員の方とお話できていない。

ここにきて、必要な荷物をとりに山の家に帰ることがあるのだが、それも日が暮れてからなので、なかなか人に会えない。この間、戻ったときにはポストにご近所の週末カフェのご主人からの茶封筒が入っていた。中には一冊の本。カフェにある日、突然現れた一匹の犬との短い交流のお話が本となって出版されたとのこと。

夏休みの間に読もうと思って、読めないまま積みあがってしまった本の山を尻目に、まずはこの本を読もうと思う。山の生活では、たくさんのいい出会いに恵まれたが、このカフェのご夫婦もここでの大切な友人であり、理解者なのだ。

きっと、山の生活の一端を垣間見ることができる一冊だと思います。

ポロ 人生の贈り物ポロ 人生の贈り物
著者:田北 十生
文芸社(2010-09-01)
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