本書を読んでくれた友人が、「この本を読んだら、母の生き方が前よりいっそう納得できた」と話してくれました。本書では後半生の成長と発達を四段階(再評価段階、解放段階、まとめ段階、アンコール段階)に分類していますが、お母さんの生き方がまさにこのプロセスの通りだというのです。
女手ひとつでふたりの娘を育てあげた彼女のお母さんは、今から3年前の76歳のときに、縁もゆかりもない和歌山の地に赴き、現在はシスター見習いとして修道院で生活されています。実は10代の頃、お母さんはカトリックのシスターになることを夢見ていたのだそうです。その後、いろいろ苦労されながらも、キリスト教やボランティア活動などに関心を持ち続け、できる範囲の活動はされていたようですが、再び本格的に教会に通うようになったのは75歳のとき。そこで、偶然にも50年前に療養先でお世話になったシスターと再会したことがきっかけで、修道院に入ることになったそうです。
不思議なことに、娘さんのひとりはお寺に嫁ぎ、その後、自らも僧侶となり、もうひとりの娘さんは結婚を機に新天地に移住して、神社に勤務しています。たまに姉妹で修道院を訪ねると、現在79歳のお母さんは娘時代に戻ったかのように生き生きと活動していらっしゃるそうです。
この友人一家には、宗教は違っても、神や仏に仕え、奉仕することを喜びとする遺伝子が継承されているのかも知れません。友人のお母さんを通して、「夢は何歳になっても叶う」のだと改めて感じています。