近所のおばちゃんが、うちのすぐ隣の空き地にコスモスを
植えていた。この時期にうちから眺めると、あたりいっぱ
いのコスモス畑の向こうに茅葺の家という、絵になる風景
が広がっていたのだが、今年はコスモスが一本もない。
鹿が食べ尽くしたからだ。去年も、かなり数は減っていた
が、今年は見事にまったくない。認知症が進行しているお
ばちゃんも、最近は前ほど畑に出なくなった。
人手は減り、鹿は増える。以前は夜更けまで聞こえなかっ
た鹿の鳴き声も、このところは日暮時から聞こえてくる。
山里の秋の、もの悲しい響きだ。
*別のお宅の玄関前のコスモスは無事だった。