きょうのバレンタインデーに合わせて、実家の父にチョコ
レートケーキを贈ったところ、珍しく父と電話で話すこと
とになった。ケーキのお礼のあとに、父は「どうも長生き
できそうにないわい」と言って母に受話器を渡した。
「長生きできない」と言われても、すでに94歳。十分、長
生きしてるじゃないかとひとしきり笑ったのだが、父とし
てはこれまでずっと「100歳まで生きる」と本気で思ってい
たのが、昨年末に突然、足が痛くなり、前のようにすんな
り歩けなくなったことで、冗談めかして弱音を吐いたらしい。
実は、二年前に母が二ヶ月ほど入院した後に、父の様子が
少しおかしくなったことがある。母の入院で目に見えない
ストレスを抱えていたからだろう。
そして今回、足が痛くなってから、時たまおかしなことを
言うらしい。母が心配するので、主治医に相談して、必要
であれば専門医に診てもらうよう薦めたところ、今週、主
治医が近くの病院の専門医を紹介してくださった。母の話
を聞いている限りでは、父の症状は認知症ではなく、せん
妄ではないかと私には思われたのだが、案の定、専門医の
診断もせん妄だった。とはいえ、「日常生活に支障をきた
すわけでも、他人に迷惑をかけるわけでもないので、変に
心配せず、おかしなことを言っても聞き流して、楽しく生
活してください」というのが専門医のアドバイスだったと
いう。
同じ日に、同じ病院の整形外科で足の痛みをみてもらった
ところ、こちらも神経痛のようなものなので、痛み止めを
飲むだけの治療でよいとのこと。また一ヶ月後に診察に来
てくださいと言われた父は「先生、一ヶ月後まで私は生き
とられますかね?」と冗談めかして話し、お医者さんを笑
わせていたらしい。
だが、誰しも明日をも知れぬ身であることは確かな事実。
父のように、それを日々、実感しながら私も生きていきた
い。
*故障したデジカメで撮った写真