不思議な再会

昨日の話に出てきた中高時代の同級生とも、不思議な再会があったことを思い出した。彼女とは、お互い東京で大学生活を送っていたのに、高校卒業後は一度も会わなかった。私はそのまま東京で就職したが、彼女は大学卒業と同時に学生時代の彼と結婚して、彼の転勤のため名古屋に引っ越したと風の噂に聞いていた。

心がきれいで、まっすぐで、とっても頭がいい人。そんな彼女に私はずっと好感を抱いていたが、頭がよすぎる彼女は私にはちょっと遠い存在でもあった。(そのわりに、修学旅行では彼女をからかったりした楽しい思い出もあるのだが…。)

就職してから何年かたった頃、自己啓発セミナーにはまってしまった大学の同級生から、「次のセミナーに友達をひとり連れて行かなくてはいけないの」と頼まれた。明らかにやばそうなセミナーで、彼女の目をさまさせるためにも、仕方がないか…と足を運んだ。

当日、青山のビルの一室に30人ほどの若者が集められ、お話や自己紹介ゲームなどをさせられた。段々と時間がたつにつれ、周りの人たちは熱心に話に聞き入っている。「みんな、やばいんじゃない?」と思いながら、すっかり冷めきった私は早く終わらないかな~とそればかり考えていた。ふと見ると、ひとりだけ私と同じように、つまらなそう~に話を聞いている女性がいた。「同類がいた!」と嬉しくなって、よく見たら、それが名古屋にいるはずの同級生だったのだ。

セミナーが終わった途端、殆どの人たちは有無を言わせず次回のセミナー勧誘を受けていたが、私と彼女は辺りをはばかることなく大きな声で広島弁丸出しで喋っていた。ご主人の転勤が終わり、東京に帰ってきたという彼女と連絡先を交換して、その日は別れた。

しかし、お互い忙しい日々を送る中、殆ど旧交を温めるまもなく年月が過ぎた。転職活動をしていた私は、ある日の夕方、会社が終わったあと小さな出版社へと面接に向かった。いつもは残業がないのに、その日に限って定時に終わらず、面接の時間に少し遅れそうになったため、私は渋谷駅で公衆電話を探した。まだ携帯など普及していない頃の話だ。10台以上並ぶ公衆電話は、見事にすべてふさがっていたので、勘を頼りに一番早く終わりそうに思える人の後ろに立った。そして、電話を終えて振り返ったのが、そう、その同級生だったのだ。

事情が事情だけに、ゆっくり話すことはできなかったが、二度の偶然の再会を経て、その後はなんとなく交流が続いている。二度目の再会のときも、実は大手町の隣のビルで働いていたことが発覚したり、私が出版社に転職して初めて手がけた超マイナーな本を彼女が買っていたりと、他にも意外なつながりはあった。私が関西に引っ越したあとも、彼女のご主人が転勤となり、関西でまた何度も再会できた。

嬉しいことに彼女のイメージは昔とまったく変わらない。心がきれいで、まっすぐで、そしてもちろん頭がいい。彼女を育んだ瀬戸内海のように、おだやかで、やさしくて、温かい彼女の心に触れる度、私は懐かしさでいっぱいになる。

*きょうも犬の散歩に、隣の犬が仲間入り。
sornleo

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