酒屋のおばさん

ニューヨークのレストランで人気という新聞記事を見たのがきっかけで
知った地元のお酒を、今回もお土産に買って帰ることにした。このお酒
を扱う数少ない店が町内にあったので行ってみると、私の母くらいの年
代と思われるおばさんが、丁寧にお酒の説明をしてくれた。

人がよい上に動物好きらしく、ケガをした動物を人から頼まれて面倒を
みることが多いそうで、お店の通路をふさいでいるダンボール箱には鳩
が休んでいた。

昨日、クーラーボックスを買いに行ったときも、レジのおばさんが、
「あら、こんな値段で売ってるの? 中を見せてもらってもいい?」と
話しかけてきて、「20年以上前に息子のために買ったときは、高かった
よ。今でも、孫のために使っているけどね…」と、こちらが立ち去らな
ければ、いつまでも世間話が続きそうな雰囲気だった。

酒屋のおばさんとも、長いことお喋りが続き、しまいには自宅用にとっ
ていたこの特別なお酒の特別な酒かすをわざわざおまけにつけてくれた。
(一度だけ食べたことがあるが、これほどおいしい酒かすを私は知らない!)

やっと支払をすませたと思ったら、人のいいおばさんはお酒の数を間違え
て少なくしていて、あやうく損をするところだった。そして、これから高
速道路を走って帰るという私たち一家の車が見えなくなるまで、お店の前
でずっと手を振ってくれた。

見た目はどんどん都会に近くなっていても、昔から住んでいる人たちは
変わらない。田舎っていいなぁと思いながら、故郷をあとにした。

*これが、そのお酒「貴醸酒」。
hmskjsiha6

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