唇をかみしめて(痔の痛みにも耐えるのだ)


朝いちで子供の塾弁の材料を買おうと、車で近所のスーパーに向かった。落ち込んだときに、つい聞きたくなるのが吉田拓郎の『唇をかみしめて』。といっても、私の場合は2004年10月30日の『ひとり股旅@広島市民球場』の奥田民生バージョンなのだけど。車の中で、これを思い切り大音量でかけてしまった。広島に通った2年間を思い出しながら。入院した母と、それに伴い老人ホームに入所した父と、それぞれに訪ねて、お金の支払いやらの雑用をしたり、旧友に会ってグチったり・・・。そんなことを、あのクリニックの医師は知りもしないくせに、「カイコ~!?」なんて言いやがって・・・。などと、はしたなく心の中で毒づく私。

~心が寒すぎて 旅にも出れなんだ
あんたは行きんさい 遠くへ行きんさい~

この部分で、なぜか私はいつも目頭が熱くなる。子供の頃、自分の育った町が大好きで、「ずっとここに住んで、ここで大きくなって結婚する!」と言っていた私に、近所のピアノの先生が、「厚子ちゃん、ここからもっと大きな世界に出て行かんとダメよ!」と言っていたことを思い出すのだ。あの頃は、「いや、ずっとここにいる!」と思っていたのに、先生の言葉通り、18歳で町を出てしまった。そして親の介護が必要になって、ようやく町に足繁く帰るようになったのだ。

そんな感傷にしばし浸ってスーパーに着いて、急いで買い物をして、レジの列に並んだら、ふと頭上から流れるBGMに気がついた。さっきの曲が頭の中を渦巻いているわけではない。確かにお店のBGMだ。雑音にかきけされそうになるBGMに耳を澄ませたら、やっぱりそう。吉田拓郎の『唇をかみしめて』が流れている! なんという偶然!

私の経験則によれば、こういう小さな偶然があるのは、いい流れに乗っているとき。
きょうの空と同じく、私の心も晴れてきた。

by 鳩胸厚子

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